第66回 院長の医学ちょっと良い話コラム 令和6年8月27日
「我々が作る義足は、身体だけ支えるのではありません。心を支える足が作りたい。」
ガザ地区で、がれきから義足を作るサラハ・サルミさん(36)とムハンマドさん(25)兄弟
ガザ地区は戦火が激しくなるばかりです。爆発に巻き込まれ、1000人以上の子供が手足の切断を余儀なくされています。子供たちには何の責任もないのに、悲しいくらい悔しいです。
ガザに住むサラハ兄弟。兄は作業療法士、弟は技師として働いていました。目の前には数えきれない負傷者が苦しんでいます。そして、2人は周囲のがれきの山を見て「これで義足ができないだろうか?」と思ったそうです。手ごろな形の木や下水管の一部を使い、プラスチック部を火であぶって採型し足の断端に合う様にしました。
サラハ兄弟の義足は、確かに使い心地は良くないでしょう。でも、けがをした同胞の人々へのために、という気持ちは十分にこもっています。「けがをしていない自分でも苦しいのに、手足を失った人たちの絶望はもっと深いはずだ。心を支える足が作りたい。」サラハ兄弟が作った義足が、負傷者の心も支えられる様に祈っています。そして、患者さんがこの義足をはいて、パラリンピックの100m走を走れば、世界の人々の心も動かせると思います。一刻も早く無意味な戦闘をやめるべきです。
第65回 院長の医学ちょっと良い話コラム 令和6年8月20日
「ゴルフは、生きがいです。」
The G4D Open 世界障がい者ゴルフ大会に参加されたプレイヤーから
「写真はYahoo!ニュースHPより引用」
今年も5月5-7日にG4D大会が開催されました。今回の舞台はイギリス・ウォーバーンゴルフクラブで、日本からも多くのプレイヤーが日の丸をしょって参加されました。G4Dとは、Golf for the Disabled(障がい者)の略です。障がいレベルは、上肢、下肢、視覚、など9つに区分されており、将来はパラリンピック入りを目指しているそうです。写真を見てください。上肢が欠損したプレイヤーは、地面に座り込んでボールをティ―アップし、左わきに物干し竿くらい長いドライバーを挟んで230ヤードをかっ飛ばします。すごい飛距離に驚きました。
「写真はゴルフのニュースHPより引用」
秋山卓哉氏(49)も参加者の一人です。彼は小6の時に骨肉腫という病気で左大腿部から切断しました。彼は言います。「誰にでも病気や事故が起こり、障がい者になりうる。その時に一番大事なのは、生きがいであり、自分にはそれがゴルフという選択肢でした。突然の悲劇でも、まだできると思えば生きる力になります。」 参加者は口々に言います。ゴルフは、「人生そのものだ」「心の支えです」「家族の次に愛している」そして、「生きがいです」と。
うらやましくて、しょうがないんです。皆さん、「あなたにとって、人生の生きがいとは何ですか?」と聞かれたらどうお答えしますか?私には即答できません。でも、いくら年をとっても自分の生きがいは見つけられるはずです。改めて、障がい者ゴルフプレイヤーの方々へ、生きがいが見つけられて羨ましいです。